ー屋上にー(星が溢れる)
屋上。
初めて入った屋上に、自分しかいないと気がついた。
胸が躍った。
風が優しく自分を撫でる。
その日は一点の曇りもなく、溢れんばかりの星が顔を出していた。
空を見上げれば視界に入る星々。
なんて綺麗なんだろう。
ありきたりの言葉しか浮かんでこない。
もともと、あってないような語彙力が、景色に全て取り上げられてしまったようだ。
冷たい夜の空気が、寂しさと同時に入り込んでくる。
なんてことだ。
泣きそうになり、口の中をギュッと噛んだ。
最後に見るのがこれで良かった。
冷たくなった、転落防止用の柵を掴む。
それを飛び越えた時、
強い風が、髪や服を大袈裟に揺らした。
寂しさが恐怖へと変わる。
浅くしか吸えない空気を、必死に吸った。
全身が震える。
下に走る車。
駄目だ、無理なんだ。
情けない自分。
慎重に柵を掴んで、体勢を変え、車たちに背を向ける。
気が抜けた。
ふっと、安堵の息をついた。
これからはこんな馬鹿なことを、考えないようにしよう。
戻ろうと、柵に足をかけた。
その時だった。
横から突風が吹いた。
一瞬、音が聞こえなくなった。
体が不安定な時だったせいで、容易に体勢が崩れた。
ひんやりしたなにかが、体の中を駆け抜けた。
汗が出る。
体勢を立て直そうと、柵に手をかけた。
が、手汗のせいで、柵が手から逃げるように離れた。
これ、駄目なやつだ。
瞬間、浮遊感が身体を包んだ。
星が嘲笑うように、自分を取り囲んだ気がした。
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🙂おやすみなさい。20:00
3/15/2026, 11:00:04 AM