「ココロ」
ジャム瓶がひとつ
微かに甘い香りを漂わせてじっと待っている
もういちごなんて食べられないのに
あるときジャム瓶は強く掴まれた
砕けてしまいそうなほど強く掴まれて
見たこともない高さまで振り上げられた
だけどその手は震えながらジャム瓶をそっと置いただけだった
あるときジャム瓶はそっと優しく持ち上げられた
蓋をゆっくり外されると甘い甘いジャムが滑り込んだ
それはいちごじゃなくて、どこか異国の香りがした
久しぶりの甘い気分
ジャム瓶は知っていた
自分が傷だらけで欠けだらけということを
もういつ割れて無くなってもおかしくないことを
いつから存在していたのかどうやって消えるのか自分でも分からない
でもいつのまにかいろんなジャムが入ってきてとてもとても甘いジャムで満たされていることだけは知っていた
幸せな気分
2/12/2025, 1:52:39 PM