おぼろげ

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【星空の下で】※長文注意
屋上で深呼吸をする。
肺から冷たい空気がゆっくりと全身に巡っていく。そんな気がした。冷たすぎて少し頭がクラッとしたが、それさえも心地良いと思える。
春が来たと思えば、夜はまだ寒い日が続いており、四季がはっきりしていない。けれど、私が【生きている】時間帯は夜だ。だから、私の中ではまだ冬。
私は、なんで生きているんだろうか。
ふと、そんなことが頭に過る。
この病院で3週間過ごしても、この車椅子にも慣れないし、この病院の日々も慣れていない。
ことの発端は全て私のせいなのに。
この傷も、この慣れない生活も、この性格も、この罪も。
私は、生きながら死んでいる。
「星、綺麗だな」
月より、星の方が好き。だって、星はいっぱいいて一人じゃない。でも、私は、星になりきれない月だ。
「あー、冷たっ!頭が冷えるわ〜」
突然後ろのドアが開き、私の担当医が隣に来た。
「出た。ヤブ医者」
「誰がヤブ医者だ。心優しいお医者さんだわ」
この先生が、自分を責めても何もならない、と教えてくれたんだ。本当に感謝してもしきれない。
「星、綺麗だよな。」
先生が夜空を見上げる。懐かしむように目を細め、柵に体重を掛ける。
「お前の足、絶対治してやるから。」
「……ありがと。」
夜空の下、先生は誓ってくれた。星空が降る夜の日に。

4/5/2026, 11:29:09 AM