不完全な僕
半身て言葉を知ったのは13歳のときだった。
いわゆる運命の相手みたいなやつ。人は半分ずつ生まれてきて、世界のどこかにもう半分がいるんだって。
出会ってすぐにこの人だってわかる場合、わからない場合、同じ半分同士でも相性がいい場合、反発しあう場合、色々あるみたいで、半身に出会ったからって必ずしも「一体」になれるわけじゃないそうだ。
僕のイトコの兄さんは21歳で半身に出会って電撃結婚。もともと優しい人だったけど、半身に出会ってからはより性格の良さに磨きがかかって、仕事もうまく行って出世頭になって、いつ見ても幸せそうだった。でも奥さんが交通事故で亡くなってからみるみるうちにやせ細って後を追うように亡くなってしまった。イトコの兄さん夫婦を知ってる人たちはみんな「あの2人は一体だったからね」って首を振った。
僕は兄さんが大好きだった。奥さんのことも少ししか知らないけどいい人だと思ってた。
もし兄さんが事故に遭ってたら、奥さんもやっぱり後を追うように亡くなるんだろうか?
半分同士が巡り合ったら、悲しみや痛みも倍になってしまうんだろうか?
じゃあ半身になんて出会わないほうがいいんだろうか?
そんなことを思いながら兄さんの写真を見ると、やっぱり結婚してからの兄さんはどの瞬間よりも輝いていて、きっと周りが何を思おうが、出会わなければよかったなんて思わないんだろうと思う。
自分の命が削られたって構わないほどの出会いなら、僕もそんな半身を見つけてみたい、だなんて
そっと星に願う未だ半分の僕。
8/31/2024, 11:47:43 AM