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『突然の君の訪問。』

ぴーんぽーん。ぴーんぽーん。《やっほー。》

高校生からひとり暮らしになった私には身の丈に合わない大きな部屋。そこに彼女の声は響く。

私は驚いた。だが自然とドアを開けた。彼女はボサボサの髪にボロボロの制服で、脚を引きづっていた。私は彼女を見て何も言えなかった。

[ねぇみてー。また、やられちゃった。]
作った泥団子を見せるように彼女は笑った。
「は、早く入りなよ。今日、酷くない?」
[えへへ。、やったぁ。]

そう言うと彼女は私に覆い被さるように、寄りかかってきた。彼女の重たい体を引きづりながら、私は椅子に座らせた。幾度も座りすぎて、ほぼ彼女の私物である。
実家から持ってきた救急箱で、私はテキパキと手当をした。

「今日は何人?」
[5人、、ぐらいかな。あ、もっと、いたかも。]
[あいつら、厚底か、ヒール、だったからさ。ちょぉ、痛い。]

彼女の傷は相当酷いものだった。切り傷や擦り傷はいつものものもあるが、今日のは酷すぎる。今日は骨折もしたのだろうか。

「はい。終わったよ。」
[んぁ、ありがとぉ。]
そう言うと、彼女は床によりかかるように座った。
私も隣に座ると、彼女はへへっと笑った。
[これ、いつまで、続く、のかな。]
「…どうだろ。」
[そつぎょう、したら、、どっかいこうね。]
「うん、、約束。」

気づくとお互いに泣いていた。でも、口は今日の月よりも、綺麗な三日月形をしていた。
私たちは、いつの間にか眠りについた。

あなたがいなくなったのは、みらいの話をしたあの日からだった。




8/29/2024, 10:09:31 AM