ぼぼ

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 こんな夢を見た。

 私は車を運転していているのだけれど、ブレーキが壊れて、踏んでも踏んでも止まらない夢。
 朝起きて、夢で良かったと安心しながらも、疲労で体はだるく、それでも今から仕事に行かなくては行けない。
 億劫で仕方がなかった。夢くらい幸せな景色を見せてくれればいいのに。

 夢は毎日見るわけではないし、他にも遅刻する夢だとか、昔の友人が出てくる夢を見たりする。
 ただ、私は車のブレーキが壊れた夢を、たまに見たり、思い出したりした。

 なんだか無性に気になって夢についてインターネットで調べてみると、夢は己の真相心理を表していることがあると書かれていた。
 さらに、車は己のエネルギーを表し、ブレーキが壊れた夢は慢心、さらに止まらないのであればコントロール不能という意味になるという。
 もっと見ていくと、坂道を登る夢、という項目が目に付いた。私はその夢もよく見る。坂どころが崖のような絶壁を、背中の浮遊感に怯えながら登るのだ。
 私は急な坂道は嫌いだし、ジェットコースターのような乗り物も苦手である。その夢は本当に苦痛以外のなにものでもなかった。

 夢占いによると、坂道は試練らしい。
 登り方や、どのような状況かでも意味は変わってくるようだけれど、私は自分の今まで生きてきた道のりを振り返って、確かに、試練の連続だったと妙に納得した。

 夢は、私自身が、私も気づいていない、あるいは見て見ぬふりをしていることを自覚させてくれるものなのかもしれない。
 誰にも認められなくて、苦しくて辛かったことが、自分自身に認められたような気がした。
 そして、自分の心に随分と負荷をかけていたことを知った。
 休まなければ、休んだ方がいい。そう思いながらもどこかでもっと頑張らなければと思っていた。自分には努力が足りないのだと。どうやって自分にブレーキをかければいいのか分からなかったのだ。

 けれど、夢が教えてくれた。
 私の心のブレーキは、おそらく壊れているのだと。

 車のブレーキが壊れたなら、どうするか考えてみた。きっと修理にだすだろう。
 既に病院に通っている私は、先生に頑張り屋さんだと言ってもらえたけれど、納得できてはいなかった。

 そう、私は頑張りたくて頑張っていたわけじゃない。心のブレーキが壊れていたから、自分がどこまで頑張れば良いのか分からなかった。ブレーキが壊れたまま、スピードを出しすぎて、運良く事故はしなかったようだけれど、エンジン切れを起こして、動けなくなってしまったのではないだろうか。

 だから、夢を侮ってはならない。
 夢は自分も知らない本当の心の声が、唯一意識に訴えかけることのできるものかもしれないのだから。
 
 
 
 

 

1/23/2023, 10:32:44 AM