おつかれえっす もう上がりすか、ちがうっすか
俺は今から未来支部行ってくるっす ういーす
颯爽とバイクでかけていく後輩を見送ったあと、俺は反対方向を向いてエンジンをきる。
巨大な重力の波に吸い込まれるように、歪んだ光の経路へと入っていくと、そのままブオンと外へ放り出された。
うえぇきっもちわるっ
時空を通過する時の、全身がひしゃげたような感覚は未だに慣れない。時給が悪かったら絶対やんねえこのバイト。
懐かしい通りをバイクでかけながら、各家のポストへ投函していく。
次でラスト、ね。今までよりも大きく、この時代にしては珍しいコンクリの家に着く。玄関前に人影が見えて、とっさに深く帽子をかぶった。
ねえ、お兄さんってもしかして ...
投函後、俺はすぐバイクにまたがってかけ出した。
遠くから、やっぱり!お前だろ!早くこの時代から出てけー!!!と叫ばれた。
またあの気持ち悪い空間を抜けたあと、心臓が激しく鼓動していて、しばらくヘッドライトにもたれかかった。
先輩大丈夫すか 具合悪いすか
なんかヒア汗かいてません?今日は帰った方がいいすよ おつかれえっす ういーす
着替える気力もなくベッドに仰向けになる。しばらくして、外からブオンと音がしたので、ポストを見に行った。差し出しは西暦に日付、時間帯まで事細かに書かれていた。〝今すぐ〟の急ぎの用か?
ビリビリと雑に封筒を開けて、曲げられた紙を見た瞬間、思いっきり破り捨てた。
金貸して
.10年後の私から届いた手紙
2/15/2024, 3:31:31 PM