「ただいま〜」
ガチャ、家に帰ってきた私。リビングに入ると机の上に私宛の手紙が置いてある。
母親が私に向かって話しかけてきた。
「ほら、小学校の一年の時に書いたでしょ?10年後の自分へって。届いてたよ」
「えー、私何書いたのかな?」
私はドキドキしながら手紙を持って2階に上がる。
自分の部屋に入ると鞄をベッドの上に置いて、その横に座る。
封筒には色鉛筆でハートのマークが何個か書いてあった。
ゆっくりと手紙を開封していくと、中から白い便箋が出てくる。
ピラッ
便箋を開くと、小学校一年の私の拙い文字。
でも、妙に愛着のある文字だった。
「10年後のわたしへ
げんきですか?わたしはまあまあげんきです。
わたしの今のともだちはまおちゃんです。10年後の今のともだちは何ちゃんですか?
犬のミミはげんきですか?たくさんもじがよめるようになっていますか?
わたしはおとなになっていますか?わたしはじぶんを見つけていますか?やりたいことにむかってすすんでいますか?
未来のわたしへ。まけないでください。いつでも10年前のわたしがおうえんしていることをわすれないでください。それではまた10年後にお会いしましょう」
手紙を読んで、私はクスッと笑う。
可愛い文章だ。我ながら。
私はペンと便箋を取り出す。
そして手紙を書いた。
「10年前のわたしへ
お手紙ありがとう。わたしはとっても元気です!
今のわたしのともだちは、さやと、のりかと、みちこちゃんです。仲良くやってるから心配しないでね。
ミミは、もうお年寄りだよ。でも、まだがんばって生きているし、わたしたちも大切に育てているからね。
もじもたくさん読めるようになりました。
わたしは、、、おとなになっているか、しょうじき分かりません。おとなになっているといいんですけど。
そこは10年後のわたしにたくしますね。
じぶんのやりたいことは、イラストです。毎日がんばってかいています。絵のべんきょうをしてしごとにできたらいいな、と思っています。
あなたのおうえんがとてもこころづよかったです。忘れません。10年前の私ががっかりしないように毎日をせいいっぱい生きますね! 10年後のわたしより
PS、かんじはできるだけ使わないようにしました。どれだけ読めるかわからなかったから。」
私は手紙を書くと、もう一度読み返す。
十年前の私へ届くあてもない手紙を書いてしまった。
便箋を封筒に入れると、綺麗なお気に入りのシールを封筒のワンポイントに貼って引き出しの一番上に入れておく。
十年前の私からの手紙に重ねて置いておいた。
また落ち込んだ時は私の力になってね。
あなたと私の手紙を読んで元気を出すから。
そして、私は10年前の私へと言葉に出して一言言う。
「ありがとう」
2/15/2024, 1:28:35 PM