ぬるい炭酸と無口な君
突然現れた鎧兜の武者に、恐ろしい顔で詰め寄られた。
“貴様、あの娘を真実愛しているか、否か?”
ええと……困ったな。
真実ってその時のその人だけのものですよね。
状況変わったら本人でも分からなくなるし。
でも今僕は彼女が世界一大切で大好きで、それじゃダメですか?
武者はむうと唸り、無言のまま鬼の形相で消えてゆく。
ああびっくりした。
僕はぬるくなった炭酸を一気に飲み干し、冷や汗を拭った。
あの答えで良かったのか悪かったのか、彼女の守護霊はえらく怖そうだ。
8/3/2025, 1:09:58 PM