雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。―

もういつからか分からなくなるくらい、
ずっと走っている。
何かに追われているかのように。
或いはそれから逃げるかのように。
喉は酷く乾ききっていて、
呼吸の仕方も分からなくなるほど、
息も荒々しく乱れている。
只管に苦しい。苦しさも感じないほどに
麻痺すれば、きっと、もっと楽なんだろう。
それなのに、何故か止まることは出来なくて。
止まれない理由は特に無い。
ただ、止まろうと思わないだけ。
特に変わることの無い、薄暗闇の中、
ただただ、必死に走る。
ふと、止まってしまえばどうなるんだろう。
なんて考えがさっきから頭に浮かんでは
一向に消えようとしない。
止まらないとは言えど、苦しいことに
変わりは無い。でも止まれない理由もない。
じゃあ止まればいいんじゃないか。
でも、取り返しのつかないことになったらと
思うと怖くて、なかなか行動に移せない。
昔は、一緒に走っていた人がいたような
気がする。その人たちが行先を照らしてくれて、
そのとき初めて明るみになったのは、
気の遠くなる程長い道が何度にも渡り
枝分かれしており、複雑に入り組んでいる光景。
あれ以来、私の見える範囲に人はいない。
だから光もない。
足を止めることもなくぼーっとしていると、
一つ閃いたことがあった。
なら、歩けばいい、と。止まりたくないなら
歩けばいい。苦しいのは同じかもしれない。
急にペースを落とすのは余計にしんどい
かもしれない。でも、それで気が楽になるのなら。
「でも結局、人生ってそんなもんでしょ」
と、どこかからか声が聞こえた。
「走れなくなったのなら歩けばいい。
走りたいときに走ればいい。それなら
止まらずに進み続けることが出来る。
そうやってペースを調節すれば、
1人になることもない。きっと、誰かが
道を照らして、様々な選択肢を与えてくれる」

5/31/2023, 9:51:03 AM