「じゃあ行くね。元気で」
最後に交わした挨拶の時には、もう貴方の顔を見ることができなかった。辛うじて、私も同じように元気でねと告げたけど、その声が貴方に届いていたかどうかまでは分からない。それくらいか細くて頼りなかったのは今でもよく覚えている。
あれから季節は巡ってもうすぐ春になる。お別れを言った時には葉の落ちた寂しい並木道だったこの道が、もうあと数日で綺麗な花を咲かせようとしているよ。この場所で味わったのは寂しさだけじゃない。貴方を送り出そうとした決意とか信じる心とか、決してつらい気持ちばかりではない。春になればこの道が綺麗に彩られるように、その頃には私の心もきっと落ち着くでしょう。貴方を思うあまりに溢れて止まらない寂しさに苦しめ続けられる日々でなくなると、そう信じてる。
2/12/2024, 7:22:09 AM