ほろ

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朝はいつも、ギリギリに起きる。
それっぽく髪を整えて、制服を着て、必ずトーストを咥えて家を出る。
通学路には三つ、曲がり角があった。私はいつも、その曲がり角たちに差し掛かるたびにドキドキする。

今日は、今日こそは……! 私の王子様に!

少女漫画が大好きで、曲がり角での出会いに憧れて、かれこれ五年。まだ曲がり角で王子様に会えてはいない。
分かってる。現実はそんなに簡単じゃない。でも、現実にだってそんな素敵な展開があってもいいじゃない。

二つ目、三つ目の曲がり角を曲がる。誰も私とぶつかってくれない。今日も王子様はいなかった。
トーストを一気に食べて、近くの自販機でりんごジュースを買って飲む。

「明日こそは、王子様がいますように!」

私の胸の高鳴りは、まだまだ収まらないようだ。

3/19/2024, 3:10:07 PM