特別な存在
「貴方が頼り。貴方しか居ないの。」
そう言ったとき、彼は少しだけ驚いた顔をした。
あ、と思った。
この人、こういう言葉に弱いんだなって。
なんとなく、分かった。
別に計算して言ったわけじゃない。
ただ、そばにいてほしくて言っただけ。
たぶん。
「本当に、私、貴方しかいないから」
そう続けると、彼は少し困ったように笑って、
「大丈夫、俺がいるよ」って言った。
やっぱり優しい人だと思う。
優しいし、ちゃんと話を聞いてくれるし、
私が少しでも落ち込んでるとすぐ気づく。
こういう人って、あんまりいない。
だから、つい頼ってしまう。
帰り道も一緒に歩いて、
他愛ない話をして、
たまにコンビニに寄って。
普通のことなのに、
なんとなく安心する。
「今日もありがとう」
そう言うと、彼は少し照れた顔をする。
その顔を見ると、
なんだか胸の奥が落ち着く。
ああ、この人は離れないな、と思う。
次の日も、その次の日も、
同じように話して、
同じように笑って、
同じように頼る。
「ごめんね、また頼っちゃった」
「いいよ」
「ほんと?」
「うん、君が必要なら」
そう言われると、
少しだけ安心する。
必要って言葉、いいなと思う。
必要って言われると、
なんとなく、繋がってる気がする。
ある日、彼がぽつりと聞いた。
「君は俺がいなければ生きていけないんだよね…?」
少し不安そうな声だった。
どうしてそんなこと聞くんだろうと思ったけど、
すぐに分かった。
確認したいんだ。
自分が、特別かどうか。
私は少し考えてから、笑った。
「うん、たぶん」
それから少し間を空けて、
「貴方が一番頼りだよ」
彼は安心したように笑った。
それを見て、
私も少しだけ安心する。
この人は、まだ離れない。
特別な存在って、
たぶんこういうことなんだと思う。
ずっとそばにいてくれて、
ずっと頼られて、
ずっと必要だと思ってくれる人。
夜、メッセージを送る。
今日はありがとう
すぐに返信が来る。
こちらこそ。いつでも頼ってね
スマホを閉じながら、
小さく息を吐く。
大丈夫。
この人は、まだ私のそばにいる。
3/23/2026, 11:53:32 AM