ほどけた。
踏んづけて、転んだ。
靴紐。
私の運動靴の紐の端は、どれもみな、薄汚れて、ぺったんこになっている。
私が踏んづけるからだ。
薄汚れた運動靴のつま先は、すり減り、黒ずんでいる。
膝小僧に、擦れた痛みが走る。
そういえば、靴紐を踏まれてぐにゃりと転んだ右足首も、鈍く痛む。
足を引き摺りながら歩く。
足元は薄汚れている。
革靴を履かなくなって、もう2ヶ月も経った。
スーツもアイロンがけしたワイシャツもぴかぴかの制服も着ない日常は、なんだか緊張感にかけていて、弛んでいる。
踏みつけ続けられて、薄汚れてぺちゃんこにされた靴紐の先のような感じだ。
人生の夏休みなんだ、と言っても、言われても、なんだか味のなくなったガムを噛み続けているような居心地の悪さが、心と頭にわだかまっている。
今日は買い物に出た。
そして、転んだ。
靴紐を自分で踏んで。
私はいつもそうなのだ。
私はいつもそう。
私は、自分で自分の靴紐を踏んで、勝手にすっ転ぶような、そんな、勝手に自滅してしまうような人なのだ。
右足がズキズキと重たい。
足を引き摺りながら、私は歩く。
薄汚れてくたびれた運動靴がゆっくり、ゆっくり、前へ出る。
ひょろひょろとくたびれた靴紐が、ずるずるとついていく。
9/17/2025, 2:19:57 PM