七色
パレットには綺麗な七色。赤色、黄色、緑色、水色、青色、桃色、紫色。目が眩むほど鮮やかなその発色、だけどどこか調和が取れていて不思議とどれも喧嘩していない。
「これはね、補色っていって、青と黄色とか赤と緑とか反対の色なんだけど相性が良いの!」
中学の美術で習ったようなことをまだ五歳の息子が言うのだから驚いた。よく知ってるねと褒めると照れながらも「常識だよ」と笑っていた。そろばんも苦手、英会話もつまらない、野球はめんどくさいと習い事が続かなかった息子がアトリエに通いたいと言い出した時は驚いたが、息子にしてはよく続いているし、ズル休みもしたくないと意気揚々と家を出て行ったりしていて一番楽しそうだ。考えてみれば今までの習い事は全て私か旦那が半ば強引に勧めていたものだったが、息子が自分で何かをしたいと言い出したのは初めてだった。最初は、アトリエなんて行っても将来の役に立たないしどうせすぐやめてしまうだろうと突っぱねていたがどうしてもと頼み込まれて始めさせた。五歳でまだまだ自分の意思も無いような年頃だと思っていたのに、彼はすくすくと育っている。私に今できることはなんだろう。彼の描いた絵を入れる綺麗な額縁でも探そうかな。
3/27/2025, 9:27:56 AM