ジャージで過ごした翌日にワンピースを着てくるひとだった。不誠実を見過ごせず、朗らかによく笑う。そんなところが好きだと思った。
あの日前屈みに教卓にもたれた脇から、無防備に白がのぞくのを、周りの男子たちがニヤニヤ見ていた。当時流行った歌の文句に似ている、淡い水色に白の縦縞が入ったワンピースだった。袖から少しはみ出た糸が、隠しきれない幼さに見えた。
目の前で手が振られる。待ち合わせに現れたきみの、空を切り取ったようなワンピース。
「どしたの?」
見上げられ、私は笑う。
「かわいいから見惚れちゃって」
真実の一部分をクローズアップして言葉にすると、目の前のきみは「よしよし」と満足げに頷いた。
『時を繋ぐ糸』
11/27/2025, 9:59:16 AM