『終わらせないで』
昔から物事の終わりが嫌いだ。
たとえば……
俺だってお正月やお盆に帰郷し、高校時代の友達と集まって飲み会をする時もある。
話す内容はお互いの近況報告から始まり、最終的にはこの前もその話しただろうって感じの昔話に落ち着く。
「トモ(友人のあだ名)のアレ、めっちゃおもろかったよな。調子のって市井(高校時代のクラスメイトのヤンキー)に体当たりして骨折したやつ。爆笑の渦やったやん」
「あははは」
「あったあった」
「なはは、やめろって」
盛り上がっているが、実際はトモくんが体育でバスケットをやっている時にヤンキーとぶつかって転んで骨折して本気で痛がっていたので皆心配になってザワついてお通夜のような空気になってしまったのだが。思い出は美化されるものである。
まぁ、そんな感じでくだらないよもやま話に花を咲かせ、時間が過ぎ……話のストックも尽き……
誰が口にしたわけでもないのに、いつの間にかお開きの空気になってくる。
「あはは」
「なはは」
「ははは」
「へへ……」
みんな酒を飲んで良い感じに酔っぱらって、誰も話題を振らなくなり、顔を突き合わせて意味もなく笑いだけを交わすようになったら潮時だ。
「いや~今日は楽しかったわ」
「最高やな」
「あはは」
「また連絡するわ」
そしてゾロゾロと店を出て、片手を挙げて挨拶し、別れる。再会するのはまた半年か、一年後か、それか数年後。気分次第だ。
皆と別れた後、宴の終わりって感じでとてつもない喪失感に苛まれる。
俺は思う。
まだまだ話したいことがあったのに『終わらせないで!』
今年の正月は皆でまた集まることができるだろうか。
俺は幹事とか仕切るのは苦手なので、りっくん(高校時代の友達でグループのリーダー格)次第だけど、また皆で集まって飲めたら、話のネタが無くなっても粘って二次会的なものに皆を連れていこうと思う。
終わるのは悲しいから。
11/28/2024, 3:50:33 PM