いと

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道端の石、小さな花、葉っぱのうえにちょこんと乗る天道虫。幼い頃は全てが目新しくて、ワクワクして、キラキラして見えた。

今じゃただの石に花に虫だ。

私の心はいつの間にこんなに貧しくなったの?

美味しいものを食べれば美味しいとは思うけどそれを宝石箱だとは思えない。
毎日生きるために仕事して、生きるためにご飯を食べて、寝るだけの生活。
子供のころは母の作ってくれるご飯が大好きでご飯を食べるために生きていたのに。

あの頃の世界のきらめきはもう二度と戻ってこないのだろうと思っていた。

私の世界からきらめきが消えてから20年ほど経ち、私は親になった。

娘の世界はキラキラしているみたい。
私にはそのキラキラを直接見ることはできないけれど、いつも彼女の目にキラキラが反射している。

今日も彼女の目は幼稚園からの帰り道にあるキラキラを教えてくれた。

このキラキラを同じ目線で一緒に見ることはできないけれど、彼女の目を通してみるキラキラもなかなか良いもんかもしれない。

9/4/2024, 3:28:45 PM