粉末

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「輪廻転生の話?」
「まあそんなようなものさ。信じるかい?」
「うーん。」
人には魂と肉体とがあって、死んだら魂が肉体から離れる。それが本当かどうかは死んでみなきゃわからない。けど。
「なんか信じられない。けど、でも、じゃあなんでこんな説が出来たんだろ。」
「うむ。」
「昔、そんな人がいたんじゃないのかな。魂が体からほわ〜って出てすっと別の体に入った人が。」
「ほわ〜っと出てすっと入ったか。そうか。」
ふふっと笑ってくれた。よかった。
この人は私のことを馬鹿にしない。だから好きだ。
「でね、なんでそんなことになるんだろ?って考えたんだ。きっとさ、納得いく人生を送るまで続けるんだよ。あーなんかイマイチだったな、次に期待、みたいな。」
「なるほどな。あくまで自分が決めているのか。神様ではなく。自分で。」
「そう。今考えて、そう思った。」
「納得いくまで続くわけだな。長い長い旅が。」
「人によっては終わりがない旅だね。終わりがないって嫌だな。飽きそう。」
「そうだな。飽きるだろうな。」
はは、とやさしく笑った。やっぱりこの人と話すのは楽しい。
そんな時、タイミングよく終点が近づいていることを知らせる音楽が鳴った。
「このくらいがいいよ。旅って。」
「気が合うな。私もそう思ったよ。」
うーんと少し伸びをして電車を降りる準備をした。


終わりなき旅

5/31/2024, 10:42:57 AM