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【神様だけが知っている】(300字)

 ある日ある世界の天空で、天使たちがこんな会話をしていました。
「魔王が復活したので、勇者召喚プログラムを実行したいのですが、パスワードのメモってあります?」
「メモはないですねぇ。知っているのは神様だけです」
 天使たちは顔を見合わせました。
「神様、パス覚えてると思います?」
「ボケちゃってますからねぇ」
「新陳代謝のある我々と違って、神様はずっとおひとりでしたからね」
「つまり」
「詰み」
「詰み」
 天使たちはいっせいにため息をつきました。
「これが属神化の弊害というやつですか」
「神様ワンマンでしたからねぇ」
「早めに業務改革をしておくべきでしたね。まあ、あとは人間たちの魔王への抵抗を、そっと見守りましょう」

7/4/2024, 11:41:39 PM