秋の野山には魅力的なもので溢れている。
どんぐり、まつぼっくり、ヤマブドウやクコの実
ススキに色とりどりの木の葉
寧音もその友人たちも手のひらからこぼれ落としそうになりながら運んでくる。
「お母さん、かごをちょうだい〜」
大きな声が聞こえる。
寧音たちは、集めたものを大きな葉っぱの上にうず高く積んでいく。
その中から厳選したものを砕いてみたり、潰してみたり。
次第に出来上がる不思議な料理。それを丁寧に葉っぱの上に盛り付けていく。
完成したごちそう。みんなで食べようとしたその時、ぶわっと強い風が吹いてきた。落ち葉もごちそうも一気に舞い上がる。
「わー、ごはんが飛んでいくー」「まってー」
寧音たちも声をあげながら、いっせいに駆け出す。
風や落ち葉と戯れながら、賑やかに秋の午後が過ぎていく。
『吹くからに 秋の草木の しをるれば
むべ山風を 嵐といふらむ』
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お題:秋風
11/15/2024, 8:22:32 AM