ガシャンと音を立てて、それは床に落ちた
手を伸ばしたけれど間に合うわけもなくて
床に散らばるハサミやメジャー、ピンクッションに糸…
あわててピンクッションに刺さった針の数を数える
…良かった、針は散らばらなかったみたいだ
ソーイングケースの中に
落ちたものをひとつひとつ戻していく
ピンクッション、ハサミ、メジャー、白い糸、黒い糸…
「はい、こっちに転がってきてたよ」
目の前に差し出されたのは赤い糸
「あ、ありがと…」
片想い中の彼に手渡された、ただの赤い糸
この瞬間からただの赤い糸は私の宝物へと変わった
これが運命ならいいのに…
***赤い糸***
6/30/2024, 10:33:16 AM