「イブの夜」
イブの街はまるで、恋人達や家族のいる人や、兎に角誰かと一緒に過ごせる人の為にある様な、そんな賑わい。
街ゆく人々も浮かれてる様に見える。
皆が足取り軽く、自宅や待ち合わせ場所に向かってる。
そんな中、私は一人。
去年のイブは貴方の隣に居て、来年もさ来年も、この先もずっと貴方と過ごせると思っていた。
この幸せが、永遠に続くと思っていた。
でも、当たり前だけど、永遠なんてなくて。
ついこの間までは私の場所だった貴方の隣が、腕の中が、違う誰かの専用席になり。
ついこの間までは私に愛を囁いていた唇が、他の人に愛を囁き。
貴方と別れてから、何人かから口説かれた。
でも、駄目だった。
どこに居ても、誰といても、何をしても。
貴方と比べて余計に貴方が恋しくなるだけだった。
貴方と違う顔が、声が、匂いが、全てが。
納得いかず、余計に自分が苦しくなるだけだった。
そんな位なら、と仕事にかまけたり、趣味に没頭したりして、貴方の事を考えない様にしてた。
でも、こうやってふっと気が抜けると、駄目。
街ゆく人の中にも貴方を探してしまう。
貴方の笑顔、声、仕草、匂い、囁いてくれた言葉、歌ってくれた歌。
全てを忘れていない。全てが忘れられない。
だから、私はイブもやっぱり一人で過ごす。
こんな気持ちでは誰とも過ごせないから。
いつか、誰かと、心からの笑顔で過ごせる、そんな日が来るまでは。
12/24/2024, 1:56:22 PM