#タイムマシーン
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これがあれば、好きな時に行く事ができる
…そんな物があると聞いた時
最初に思い浮かべたのは、”あの頃の光景“だった
未来に行き宝くじで無双したい!
なんて考えていた割に。
実際に手にしてみれば、自分のあまりの即答ぶりに、思わず笑ってしまった。
色々あったが、やはりあそこが、俺の原点だと思う
まだまだ、身体も心もガキだった頃
拾われて、歩き回っていた最中。
狭かった世界が、一気に広がって
色んな事を聞いて、知って、やって。
癪にも、馬鹿のできる相手が身近に居て
裕福、なんて言えはしなかったけれど
”幸せだ“と、なんの疑いも無く言える日々だった
…まぁ、声に出す事はないだろうが。
それに、もし。
あの頃に戻れたなら。
別れる事も、あの場所を、失くす事も…
と、そこまで行って、考えるのを辞めた。
想い出に耽るなんて、二人に知られれば笑われてしまう
それはまっぴらごめんだし、なんなら一発グーを出したくなる。
…それに、今だって幸せだ。
焼き消され、ゼロから。
今のここを得るまで、色んな事があった
俺の飯を食い、美味しいと笑う彼奴らも
馬鹿みてぇな事をして過ごす日々も
あの頃とは似ている様で違う、幸せがある。
…まぁ、これも口には出さないけれど
ただ、少しだけ。
――今日は、あの日と同じ満月だ。
三人でコッソリ、初めて酒を飲んだ日
結局その後、しこたま怒られたのだけれど。
…満月に免じて、肴にするくらいなら許して欲しい
心のタイムマシーンに揺られながら
俺はもう一度酒を煽った。
1/22/2026, 12:01:44 PM