「もしもタイムマシーンがあったら」
「ねぇ今から遊び行こうよ〜」
「いや!行かねーから!しつこい!」
大学の校門の前でいかにも陽キャな連中が一人の女に男二人でナンパらしきものを繰り広げている。
「元気だな陽キャ連中は」
横目で見ながら通り過ぎる。連中の声がヒートアップしてくるのが聞こえる。
「はぁ〜損な性格だな…」
1度深呼吸をし校門の方へ戻る。気持ち小走り
「あっ悪い待たせたな、こいつ俺の連れなんで、ほら行くぞ!」
手を取ってその場からすぐに遠ざかる。後ろからは陽キャ共の舌打ちやらなんやら聞こえてくるが無視して歩き続ける。
男共が見えなくなった所まで来た時
「ねぇ」
俺は手を握ている事を思い出し慌てて離した。
「あ〜なんかしつこく言い寄られてるみたいやったから…俺の勘違いやったらすまん…んじゃこれで」
俺は彼女の顔も見ず歩きだそうとした。
「ねぇ待てって」
なんか後ろで言ってるがこれ以上は関わらないほうがいいな、語気ちょっと強いし「余計なことすんな」とか言われそうだし。もう会うこと無いだろうから離脱あるのみ。
俺は無視して歩く速度を早める。それと同時に駆け寄ってくる足音…ふぁ~とした香水の良い香りとともに俺の身体は静止した。
「えっ」
背中にぬくもりを感じ同時に柔らかなものも…これ後ろから抱きしめられてる⁉
「無視すんな!」
そう言って彼女は俺の背中に顔埋めている。
「えっと〜これはどういう状況なんですかね」
「分かんないの!抱きしめてんの」
「そういう事じゃなくて…」
「あんたもしかして私の事わかってない?」
「え〜っと…どちら様?」
「まじでむかつく!!やっと見つけたのに…」
彼女は抱きついてる手を離し俺の顔を覗き込んできた。
「これでも分かんないの?」
近い近い!思わずキスしそうになるわ!
白くて透き通るような肌、髪は艷やかな金色でストレート、肩までのセミロング、整った顔立ち、薄い唇、華奢な身体だが出てるとこは出てるいわゆるモデル体型…いやこんな陽キャな知り合いおらんぞ…と思ったが…1人いたわ…
「理沙?」
その瞬間今度は正面から抱きついてきた。
「遅いし!」
「もう離さないし!」
俺は忘れようとしてた高校時代の記憶を思い出していた。
7/23/2023, 4:52:20 AM