さゆ

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「優しくしないで」

優しくしないで……。
お願いだから、優しくしないで。

苦しくて苦しくて、もうどうしようもなかった時、あなたの優しさに救われた。
だけど、今はその優しさが私を苦しめるの。

あなたの優しさに触れるたびに痛くて痛くて、苦しくて辛くてどうしようもなくなる。

「君なら大丈夫だよ。きっとできる」

そうかな。私にできるかな?

「これまでだってそうだったじゃないか。僕は君のことを見ていたよ」

そうだね、見てくれていたね。ありがとう。

「すごい!この前より上達してる!」

してないよ。あなたの言うとおりに治しただけだよ。

「泣かないで。君は笑顔が似合うよ」

そんなこと、あなたしか言ってくれないよ。

「どうしたの?辛いの?こっちおいで」

辛い。あなたの優しさが、辛い。

あぁ、あなたのことが好きだ。
あなたの優しさが、あなたの声が、あなたの匂いが、あなたの温もりが、あなたという存在が、好きだ。
“好き”って、“恋”って楽しいものだと思ってた。
でも実際はただただ辛いだけ。
あぁ、こんな感情知らなければよかった。
あなたが私に優しくするたびに、私の心は熱く燃え上がる。
燃え上がれば燃え上がるほど痛くて、苦しい。
だって、だって……。
私は、

人間じゃないから。

5/2/2023, 3:47:03 PM