「もしも世界が終わるなら」
もしも、今日が世界最後の日だとしたら。
朝起きて、クロの顔を見る。
いつものように、嬉しそうに尻尾を振ってくれる。
コーヒーを淹れて、マグカップに注ぐ。
その湯気は、ふわりと立ちのぼって、消えていく。
いつもと何も変わらない、ごく普通の朝。
ただひとつだけ違うのは、
今日という日が、永遠に終わらない、
永遠に続く一日であること。
そんなふうに想像すると、
世界が終わるって、
案外、静かで、
そして、とても優しいことなのかもしれない。
なぜなら、
クロのぬくもりも、
窓から差し込む光も、
コーヒーの香りも、
ぜんぶ、ぜんぶ、
永遠に、そこに、あるのだから。
9/18/2025, 1:08:14 PM