黒板を叩くチョークの音、身体をつつむ暖かな陽のひかり。教卓に立つ先生の流れるような言葉たちの海に僕は、ゆらり揺れて、船をこいでいた。
夢と現実の狭間、脳内に映像が流れる。
僕は教卓に立っていた。チョークを黒板に押し付け、なにかを書いている。指に付着したチョークの粉の感触。
およそ20人ほどが各々の席に着席していた。
その全員が僕、僕、僕だった。
違和感はあったけど、教卓の僕は指摘することなく話進める。
机に突っ伏す僕がいれば、真剣にシャーペンを持つ僕もいた。
僕は僕に向かって話す。
それは歴史であり、公式であり、科学であり、文学であった。
やがてチャイムが鳴る。それと同時に全員が椅子から立ち上がった。
教卓の僕には僕しか見えない。
そして起立した僕には僕しか見えない。
視線の先には僕がいる。
7/20/2024, 1:46:09 AM