あなたの胸に、ひときわ美しく留まる一石のスピネル。
勿体ぶるような仕草に、高尚な笑み。
「私はあくまでここに立っているだけです」とでも言いたげなその佇まいに、群れる人々は騙られている。
私だけはただ遠くから、彼女が胸元に留めたブローチのきらめきを眈々と眺めていた。
どの角度から見ても等しく輝きを放つその宝石は、きっと誰の心も奪ってしまうのだろう。実際そのブローチに引き寄せられてたくさんの人が集まり、謙虚な仮面をかぶった彼女はまんざらでもない顔でへりくだっていた。
嫉妬、羨望、そんな言葉は似合わない。
ただ純粋に、私はあのきらめく宝石をこの手にしたかった。
「あのブローチ、私のものになればいいのに」
きらめき.
9/4/2022, 1:44:44 PM