小絲さなこ

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「すべて俺のせいにして」


「何のために生きているのかわからない」

そう言って俯いたままの君の手を取る。

「俺のために生きて」

だから、理不尽なことも、辛いことも、俺のせいにしていい。
俺は君のために生きるから。

「そんなの不公平じゃない?」

見上げる君の額に、口付ける。


そんなことない。
嬉しいことも、楽しいことも、俺のおかげだって思ってくれるなら。


────生きる意味



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「君に伝えたいこと」



自分が何者であるか、とか。
特別な何かになりたい、とか。
そういうことも含めて、ずっと考えて、出なかった答え。

ただ、行き着いたのは「自分が生きている間に、本当の意味での『生きる意味』など、自分ひとりではわからない」ということ。

誰かのために生きるのではなく、本当の意味で自分のために生きて、それが何の意味を持つのか。
世の中にとって、自分はどんな役割を持つのか。
悩んで出てきた答えが正解とは限らない。

その人が生きる意味は、周囲とその人との関係性によって、異なるのではないだろうか。

そう思えるようになるまで、だいぶかかってしまった。

もっと早くこの考えに辿り着ければよかったと思うと同時に、ずっとそれを探し続けることにこそ、意味があったのではないか、とも思う。





まるで年の離れた兄のように俺のことを慕ってくれる君は、ピンと来ないという顔をして聞いている。
わかるよ。自分もそうだったから。

今ならわかる、人生の先輩たちの言葉。
人生は遠回りしたもん勝ち。

うざがられるのはわかってるけど、若い人につい言ってしまう言葉。



自分の存在意義など、生きているうちにはわからない。
だからといって、悩む意味がないわけではない。
悩むこと、そのものに意味がある。

悩んで、足掻け。



────生きる意味

4/27/2024, 11:41:41 AM