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〜声が枯れるまで〜

はぁはぁと荒げた息を整えながら鳥居をくぐる
白独神社
ここで出会った白いキツネは今どこにいるんだろう、
あの時狩人に殺されそうになってた白いキツネは……
ガサガサと当たりを探す。
鋭い枝やトゲの木などで、体がボロボロになっても蛍が飛ぶ時間になっても探す手を止めれなかった
「おい、娘何してるんだ、そんなにボロボロになってまで無くし物か」
え…?
振り返ると浅黄色の袴を着た白髪の目立つ男性が声をかけてきた。
「何を探しているんだ、こんな時間におなごは早く家に帰れ」
そう言って乱暴に追い返そうとする
待って…!!わ、私…キツネを探してるの…白いキツネ
そういうと彼はピクっと反応したと思ったがグイグイと腕を引っ張って鳥居の外に私を押し出す。
「帰れ」
え…でも捜し物…
「ワシが探しといてやる、早く帰れ」
そう言って鳥居の中に消えていった。
時刻は夜の11時
今日は家じゃなくておばあちゃんの家で助かったなと思いながらおばあちゃんを起こさないように家の中にそっと入る。
テーブルの上には、ラップのかかった私の分のご飯が置いてある。
今日はハンバーグだったらしい。
レンジで温めてゆっくり食べてお風呂に入る。
勉強は明日でいいやとしないでそのまま夢の中へと眠りに入った。

朝の10時
いつも学校に行かない私は今日も相変わらずあの古びた鳥居をくぐり抜けてキツネを探す。
見つからない…どこにいるのかな……
そう思っているとすりすりと私の服に頬ずりする白色の"キツネ"
あ…!!居た……!!あの人本当に探してくれたんだ…!!
キツネはすぐにどこかに行ってしまったがまた会えて嬉しかった。
幼い頃から通っているこの神社は学校が嫌な時に来る場所だった。
そこで毎回毎回この狐さんを撫でているのが私にとっては普通だった。
周りになんと言われてもこれが私の普通だったのだから。
満足になったから家に帰り昨日の課題を終わらせる。
あ…お礼言ってないな……居るかな

たったっと軽い足取りで階段をかけ登りまた鳥居をくぐる。
どこにいるかな…
1時間くらいずっと探し続けていたが全く姿が見当たらない。
大声で呼び続けてたためか私の声は枯れてしまった。喉がイガイガして痛い
それでもお礼を言わなくちゃと思い、一人夜になるまで探した。
それでもいつまでたっても見当たらないから、家に帰りお風呂に入った。

次に目覚めた時はおばあちゃんが心配そうに私のことを覗いていた。
熱が出てリビングでぐったりしていたと言われ、帰りに雨に打たれたせいかもしれないと反省した
熱が下がったらまた探すよ。
私の声が今よりももっと枯れてしまうまで

10/21/2022, 11:05:42 AM