海月

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【怖がり】
昔、とても綺麗な人にあった。その人は泣き虫で怖がりな僕の手を引いて、歩いてくれた。
顔も声も匂いも、今でもはっきりと鮮明に思い出せるほど、夢のように美しかった…。
僕は昔からよく迷子になったし、とある事に泣いて怖かっていた。そんな自分が嫌で泣くのを我慢したりしていた時もあった。だが、やっぱり怖がりも泣き虫も直せなかった。なぜ今それをふと思い出したかなんて分からない。
ただ、なんだかとても今泣きそうで、あの人の優しさを思い出した。
柔らかくて暖かい優しい手で沢山撫でてくれて、笑いかけて、慰めてくれた。
初めて感じた「これが幸せなんだ。」って、小さいながらに一瞬で理解出来るほどだったことを。
今でも忘れられないあの美しい人が、今、どこで何をして、どうしているのか。何故か涙が出てきた。

でも、なんでか今ならわかる。本当に弱かったのは僕じゃない。あの時、本当に弱かったのは泣き虫で怖がりな僕じゃなくて、それを本当の自分として認められずに、直そうとばかりしていたあの僕が、本当に弱かったんだと。
そして、あの女性はその僕さえも受け入れて愛してくれる、とても暖かい人だった。
僕は今、それを理解して怖がりを直そうとだなんて思わない。

これも、全て本当の僕だ。

3/16/2026, 10:12:59 AM