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『今年の抱負』

我が国では、毎年ひとり抽選で願い人が選ばれる。

国で一番の高さを誇るタワーに吊るされ、日の出から日の入りまで耐え続けると、国がひとつだけ願い事を叶えてくれるのだ。

死者を生き返させるとか、時間を巻き戻すとかの実現不可能な願いは対象外。
その代わり、国家権力で叶うものはなんでも許される。

かつて人々は、各自年が明けると新年の抱負を語っていたらしい。
それが廃れ、人々が夢や希望を語らなくなり、無気力無感動が国に蔓延した時に、この制度が出来たという。

こんなことがやりたい、
こんなことをしようと計画している。

はじめはそういう言葉を後押ししていたそうだ。
耐え切れる者がいない今となっては、影も形もないが。

数年前、私の婚約者が願い人となり、帰ってこなかった。
今年は私が選ばれた。
私はやりきるつもりだ。

もうこんなことは終わりにするのだと――願うために。

1/3/2026, 8:51:55 AM