かめい

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[流れ星に願いを]

―夏休みの天体観測、水瓶座の流星群と重なるらしいよ

放課後、教室の前を通るとそんな話が聞こえた。思わず立ち止まり耳を傾ける。何人かで親しげに話している声が聞こえたが、すぐに別の話題に変わってしまった。

廊下を歩きながら、ふと小さな頃に祖母から聞いた話を思い出す。

あれはたしか何かしらの流星群があると聞いて、珍しく夜更かししながら星を見ていた時のことだ。私が流れ星を見る度、必死に願い事を3回言おうとしては失敗しているのを見て、おばあちゃんはいつものように優しく微笑みながら口を開いた。

「美優ちゃんは、なんでお星様に3回お願い事をすると思う?」

私は少し考えたが答えられなかった。そんなの考えたこともなかったのだ。すぐに分からないと言うと、おばあちゃんは夜空を見上げた。

「お星さまにね、この願いを叶えるため努力するので、どうか見守っていてくださいって伝えるためなんだよ」

その話を聞いて、私は首をかしげた。伝えるだけなんて、意味がないではないか。それまでずっと、最近流行りのシールが欲しいと願っていた私は、抗議の声を上げた気がする。
しかし、その質問におばあちゃんはあっさりと答えた。

「お星さまはね、ご先祖さまなんだよ。だから私たちを見守って、時には少し手助けしてくれる。そんなご先祖さまに、今後何に向かって努力するか、報告するためなんだよ」

そんなの、ただの綺麗事じゃん。思わず私は言い返したが、おばあちゃんは少しだけ悲しそうな顔をするだけだった。今思えば、数年前におじいちゃんを亡くていたのもあったのだろう。

「―っと、危ない」

小石に躓きかけ、私は思い出から戻ってくる。今はおばあちゃんも死んでしまい、会えるのは記憶の中だけだ。

空を見上げると、一番星が光り始めていた。

「おばあちゃん、見てるのかなぁ」

思わずつぶやく。これまであの時のことを思い出すのは滅多になかったが、天体観測の話で思い出したせいかもしれない。確か、あれはうちの学年で自由参加の行事だったはずだ。

私は何を星に願おうか。

そんなことを考えながら、家の扉を開いた。


[追加。タヒ表現あり⚠]


暗い森の中、もう右も左も分からない中で、ふと空を見上げる。すると、一筋の光が見えた。

「流れ星か」

思わずつぶやく。子供の頃は流星群があるときは夜更かしをして、必死に願い事をしていたものだ。

「懐かしいな」

いつぶりに見ただろうか。ここ数年は、人工の光しか見ていなかった。

疲れて痛む足を無理やり動かし、歩き続ける。最初は軽かったはずの背中の荷物が、今は投げ出したくなるほど重かった。

そういえば昔、流れ星は人が死ぬ瞬間に流れると聞いたことがある。ということは、今この瞬間に誰かが死んだのだろうか。

「、ハッ」

ばかばかしい。しかし、こんな状況のせいか1度よぎった考えは頭にこびりついたままだった。

足の感覚がなくなってきた頃に、良さげな洞穴を見つける。座り込み、鞄の中身を取り出した。

数本のビール瓶と開け、一気に飲む。薬を肴に最後の晩酌だ。ぬるくて美味いとは言えないが、なけなしの金で買った最後の贅沢品。

「綺麗だなぁ」

こんなに綺麗な夜空は実家ですら見なかった。最後に見る景色がこれで良かったと妙な満足感を感じる。

薬を飲み込み、ふと思った。俺も死んだら流れ星になれるのだろうか。馬鹿みたいな話だが、そんな事も今は信じられそうだ。

俺の星に誰も祈りませんように。一瞬流れた星にそんなことを願いながら、酒を煽った。

4/25/2026, 2:50:13 PM