『死神』
百物語。百本の蝋燭に火を灯し、怪談を一つ話すごとに一本ずつ消していくという怪談会。
修学旅行の夜に同室の仲間でやろうという話になり、五人でこっそりとやることになった。流石に百本も出来ないから五本で一人一本ずつということになり、早速蝋燭に火を灯して部屋の照明を落とす。
そこからはやいのやいのと言いながら怪談が始まる。しかしあまりにも長尺な話や、茶々が永遠に入ってきて中々締まらない話などが続き、言い出しっぺ──死神が出る渾身の怪談を考えたから締めがやりたいと最後に回った──に語り手の番が回ってきた頃には最後の蝋燭の火はもう消えかけだった。
もはや話のオチどころか一番良いところにすら入れず終わりかねない状況に、語り手は一旦仕切り直さないかと提案する。が、仲間は仲間で百物語でやっているのだから仕切り直しは無しで消えたら終わりだ、と譲らない。
堂々巡りの言い合いをしているうちにも火はどんどんとか細くなり、いよいよ焦った語り手は、新しい蝋燭に着火剤を使わずにこの消えかけの火を継いで続けるのはどうかと言い、仲間はやれるものなら、と承諾した。
語り手はもはや光源として機能しない明かりが僅かに灯る部屋の中から手探りで新しい蝋燭を見つけて持ってくる。
しかし、大急ぎで火を継ごうとするが、焦りからか何度やってもとんと上手くいかない。
「あぁ、消える......!」
「早く寝ろ! 就寝時間過ぎてるぞ!」
「せっ先生!? テケレッツのパー!」
「寝るまで枕元に居座るぞ!」
「永眠しちまうよ!」
──お題:キャンドル──
11/19/2024, 1:07:37 PM