「泣きたい夜なので失礼します」
「えっ…?」
そう一言呟いて、電話を切った
部屋に広がった静寂にまた涙が出てくる
落ち込む事があった
他の人には何気ないことでも私には大きなことだった
電話する前に散々泣いたのにまだまだ涙は出てくる
こんなに彼女が泣いてたら楽しい気持ちになれないでしょって思って今日会いに来てくれるはずだった彼の訪問を断った
本当は会いたかった、泣いてる理由話して、また大泣きして、頭撫でてもらって
温かい想像をしたけど、仕事で疲れてる彼にも申し訳ないし、きっと今日は会わない方が良い
良いって思うのに
1人は寂しくてやっぱり会いたくてまたぼろぼろぼろぼろ泣いてしまう
…会いたいな
寒い!家まで来たから早く鍵開けてって連絡が来たのをスマホが知らせた瞬間、玄関に走っていた
ドアを開けたらモコモコの彼、首周りが特に暖かそうだ
「え、来てくれたの…?」
「来てほしいんだろうなって思ったから」
えー…なんでわかるの…
なんだかびっくりしたのと嬉しさで更に泣きたくなって、しゃがみ込んで膝に顔を埋めた私の頭が大きな手で撫でられる
「私泣きたい夜だって言ったのに…」
「1人で…って言ってなかったし、会いたいから電話で断って来たんでしょ、メッセージだって良かったのに、会いたいんならそりゃ行くでしょ」
「ごめん…なんか余計な電話したかも」
「電話じゃなくても気づいたと思うから大丈夫だよ」
「気づくのか…」
「気づきたいって思ってるからね」
そっか…
言葉の一つ一つが温かくて優しくて泣けてくる
なんて涙腺の緩い夜でしょう
もう今日は大泣きしてたっぷり話聞いてもらって、明日には忘れよう
「ねぇ、とにかく家だからってそんな寒そうな格好してないで温かくして、膝掛けでもかけて、温かい飲み物でも飲みな。全部用意してあげるから。用意できたら準備万端で全力で泣きな」
そう言って親指を立てられて
いやいや…
「逆に泣きづらいでしょ!」
思わず噴き出した私を見てる彼の顔があからさまにほっとしてて、ああ…ダメだ…って今日はダメなんだってって…またまた泣き出した私に彼は慌てて温かいものを準備してくれて
グズグズ言う私をソファに座らせて、たくさん話を聞いて、たくさん頭を撫でてくれた
12/12/2024, 3:13:47 PM