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電車内にて、向かい側に座っている人が本を読んでいた。カバーがかかってなかったから、何の本を読んでいるのかはすぐに分かった。サガンの「悲しみよこんにちは」だ。
ああ、昔読んだことがあるけれど細かい内容はほとんど忘れてしまったな。自分の境遇とはあまりに異なるので共感はあまりできなかったが、物語としては嫌いではなかった気がするのだけれど。今の自分が読んだら、どう感じるのだろうか。
ふと、その本を読んでいるのがどんな人なのか気になりそっと観察してみた。恐らく、大学生だと思われる青年。私が初めて読んだ時もそれぐらいの年頃だった。君は今、どの辺りを読んでいるのだろう。そもそも、どういうきっかけで手にしたのだろう。当然聞けやしないのだけど、仲間を見つけたような嬉しさが確かにあった。

2/26/2023, 1:55:59 PM