『とある天文学者の見解』
とある天文学者は星座をこう説明した。
「誰かの人生であり、誰かの宝物であるもの。それが星座だ。」
夏の大三角や、魚座乙女座蠍座
アンドロメダ座とかは有名処。少し面白いテーブル山座はあんまり知られてないかも。
今、僕がベランダから見ているのはヘルクルス座。
全天で五番目に大きな星なのに、構成する星はいずれも三等星以下の暗めな星ばかり。
英雄ヘラクレスの姿を星座にうつしたものにしてはいささか寂しい。
英雄ヘラクレスは何を思って戦ったのだろう。
からからした風が、星座を見つめる僕の瞳を柔らかくつんざく。
ひとしきり静まり返った夜。月夜の梟の声は、少し寂しいものと思える。
懐かしい東京の黒い空は明日の曇天を知らせていたのだろうか。
_東京に上京して早半年。辛い時はいつも夜空を眺めていた。
涙ながらに天にすがって、「明日は大丈夫」と乾ききった風に頬を撫でてもらう。
小さい頃から勉強して、天文学者になった僕は都会の灯りに嫌気が指していた。
キラキラした雰囲気にも午前二時を回っても消えぬ灯りにも、心は疲れきっていたんだ
そんな時こそ星に助けてもらおうと思っても、星は人工の灯りで見えないし。
じゃあ室内でプロジェクションマッピングの星空を見て寝ようと思っても、外の声が煩くて眠れない。
_結局疲れて故郷に帰ってきた。
故郷は暖かく、心の隙間が埋められていった。
東京では聞こえなかった梟の声も、見えなかった星空も、会いたかった人々も、
全部全部、ここに在った。
故郷に帰ってきてからはもくもくと研究に取り組んだ。
新しい星を見つけよう!と奮闘して何年も調べ続けた。
その結果、ある星座の近くに星を見つけた。
少し青く、消えてしまいそうなほど暗いけれど確かに存在している星が。
僕は声を震わせた。やっとの思いで見つけた星だった。
しかし、その星は近くにあった他の星の超新星爆発により亡くなってしまった。
愛していた星を初めて嫌いになった瞬間だった。
まぁ、その数時間後にはまた大好きに戻っていたんだけれどね。
_星はやっぱり面白い。
冷めかけのコーヒーを啜りながら何回目か分からない思想を繰り返す。
とある本のページを捲りながら、また星に想いを馳せる。
ああ、星座のエピソードは全てまとめたら何ページになるのだろう。
悲しいものからおちゃらけたものまで様々だ。
まさに生命を象徴するものの一つだと思う。
本でなくとも物語を得られるとは何とも芸術的だ。
星はもしかして昔からあった大図書館だったのだろうか。
そうだとしたら面白い。自分もその時代に生まれてみたいものだ。
後味が悪くなりつつあるコーヒーを飲み干し、彼は寝室へと帰る。
彼がその晩見た夢はヘラクレスと会う夢だったとかなんとか。
お題『星座』
織川より
お久しぶりです。織川です。めちゃくちゃ時間おいての登場です。不定期になりすぎですね。待ってくれていたお方々すみませんと同時に有り難うございます。ですが、実はまだまだ不定期になりそうです。理由はまぁ…勉強ですね。はい。お勉強してきます。
というか最近またスランプ気味です。話の持ってきかたが不自然すぎますね…読みにくい作品になってしまっていると思います。すみません…
10/5/2023, 3:24:16 PM