ふと気が付くと真っ暗な空間に居た。漆黒で、虚無で、左右も上下も無い。手足を動かそうにも、まるで水中に沈んでいる時のように今ひとつ自由に動かせない。
(ここは何処?)
段々と心細くなってくる。
(ねぇってば!)
不安と焦りで涙が滲む。
それでも必死に出口を探そうとしていると、何処からともなく声が聞こえてきた。
「………──!!」
私の名前が呼ばれている。私が一番好きな声だ。
でも、貴方は何処にいるの?何処から私を呼んでいるの?
じたばたと藻掻いていると、突如光の筋が視界に入った。
「起きたな、大丈夫か。」
「……え?」
「随分とうなされていたようだが。」
そこには、汗でびっしょりになった私の額に優しくタオルをあてがう貴方が居た。
お題#7:声が聞こえる
9/22/2023, 11:37:37 AM