夜叉@桜石

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ネオンサインが怪しくに光る街は、いつでも私を歓迎する。

いつものバーで、いつもの仲間と、いつもの酒を飲む。なにも変わらない夜。
客の来ない、古いバーは、たった八人の仲間たちで賑わう。ビリヤード台にはトランプを散らかして、麻雀卓には人生ゲームを置いて。細長いカウンターのグラスは形も大きさもバラバラで、ワインや日本酒が並ぶ棚には怪しい瓶が混ざっていて。
つまり最高の隠れ家だ。

今日も黄昏時にバーは起き出す。
カラン、と乾いたベルが鳴り、大柄でスーツを着崩したオールバックのオッサンが入ってくる。散らばったものを隅に避けて、古びたロッカーから痩せた箒を取り出すと、店の中を掃き、次に濡れた布巾を用意して、集まってきた妖たちと手分けしながら店の隅々まで拭き始めた。

店がある程度片付いた頃、妖たちがさっとドアを開けて、ラフな格好をした若見えするであろろう女が入ってくる。オールバックのオッサンに笑顔で声をかけて、先ほど隅に寄せられた人生ゲームを麻雀卓に広げる。オッサンが苦笑しながらカウンターに入ると、

6/12/2024, 9:26:57 AM