「ハァ、ハァ」
俺は今、人混みを縫うように走っている。
「ヤバい。時間過ぎてる」
今日はクリスマスイヴ。デートの待ち合わせに間に合うように会社を出るはずが、遅れてしまい、待ち合わせ場所へ走っていた。
「遅れて、ごめん」
待ち合わせ場所に着くと、すでにキミが待っていた。
「そんなに遅れてないし、気にしなくて大丈夫だよ」
微笑んで許してくれたキミに、俺は一安心した。けれど、
「ありがとう。けど、もう一つ、謝らなきゃいけないことがあって…」
「ん?どうかしたの?」
「ごめん。キミへのプレゼント、用意できなくて」
「え?」
「本当にごめん。あとでになっちゃうけど、必ず用意するから」
キミへのプレゼント。何も用意できなかったことを謝ると
「プレゼントなら、もうもらってるよ」
キミは優しく微笑む。
「え、俺は何も…」
「仕事、忙しかったんでしょ」
「……」
「それを理由に、デートをキャンセルする人もいるだろうに、あなたはそれをしなかった。それどころか、待たせないように。って、走って来てくれた。私のことを大切に想ってくれてる。その気持ちをプレゼントしてもらったよ。ありがとう」
キミは俺の背中に腕を回すと、ギュッと抱きしめてくれたのだった。
12/24/2024, 7:59:07 AM