ノーネーム

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この夏だけの命と決めて
今年もひとつ花咲いて
万人の目が夜空に向いても
人知れず花びら広げた

夏の象徴であり続ける為にと
それが決められた宿命なのか
はたまた曲げられない意地なのか

…あの人みたいだと思った

周りが思う自分であり続ける為に
あの人は心に蓋をするのが上手だった
頑固で真っ直ぐでいつも上を向いてた

眩しくて倒れそうな僕に
日陰を作ってくれたのはあの人だった

到底敵うはずないよ
あの人が散ってしまった今でも
せっかくの日陰を逃げ道にして
落ちた花びらを数えてるだけの僕には

夏は期限付きのものだらけだ
あの人の時も夏の終わりだった

そしていつまでも心から消えないのも
その夏のせいなのか、それとも…




7/23/2022, 1:32:24 PM