朝が嫌いだった。
辛い、辛い1日の始まり。
五月蝿い目覚ましを止めて、ベッドから鉛のように重たい体を起こす。
沈んだ気分のまま、生きた死体のように淡々と身支度を済ませて家を出る。
ずっと、そんな朝が嫌いだった。
はずなのにーー
「おはよう」
私の隣で、優しい笑顔で微笑む彼。
「……おはよ」
「あはっ、超眠そう。ごはん作ってくるから、もう少し寝てな」
そう言って私の頭をふわっと撫でて、カーテンをサッと開ける。
「眩しいよぉ……」
「我慢しなさい。陽の光浴びた方が目が覚めるんだってさ」
昔は、1日の始まりを告げる無慈悲なものとしか思ってなかった朝の日差し。
今では、なんだか少し温かく感じる。
暖かな日差しを感じながら、ふわふわと2度目の眠りについた。
お題『朝日の温もり』
6/10/2024, 9:17:27 AM