『冬晴れ』
暫く続いた大荒れの天気にうってかわって穏やかな今日、束の間の冬晴れに車を出して向かった先はコインランドリー。
皆考えることは同じらしく、早い時間にもかかわらず乾燥機はほぼフル稼働だった。私はかろうじて空いていた一台に洗濯物を放り込んだ。
「あの…」
後ろからの声に振り返るとおばあさんが立っている。
「止まっている機械があるんだけどねぇ」
乾燥が済んだドラムから勝手に洗濯物を取り出すのにためらいを感じるのか、もしくは他人の洗濯物には触りたくないのか。困っている様子にお手伝いしますと代わりに洗濯物を引っ張り出すとおばあさんはお礼を言って自分の洗濯物を中に入れた。
「あの…」
今度は横から別のおばあさんに声を掛けられた。
「空いた機械を見付けたので慌ててしまって」
先にお金を入れた乾燥機が空のままグルグルと回っている。動いていても開けられますよと扉を開けると、おばあさんはお礼を言って自分の洗濯物を中に入れた。
さあ、今の内に買い物をしよう。乾燥時間は後20分。
出入り口に向かう私に「あの…」と、何処からか3度目の声がかかった。
1/6/2025, 7:45:17 AM