手帳の横長のマス目にみっちりと描き込まれたイラスト。
どうやら一日の出来事を描いていたようで、ティーカップや花などの簡単な絵から、よく特徴を捉えられている似顔絵やアニメのイラストが、やはり一マスでは描ききれないらしく見開きの端ギリギリまで広がっていた。
指の湿り気でインクが滲んでしまいそうで、親指と人差し指の爪の先で摘み、ペラリと頁を捲る。
縦横斜めの線に点描、かけあみ、ベタなど、様々な線を用いて描かれたイラストはとてもカラフルに見えるが、どれも一色のペンで描きあげられていた。
なんと惜しい、これだけ描けるのに。
あの子は生きることを諦めてしまった。
パタンと手帳を閉じて、そのまま側の屑入れに放った。
テーマ「カレンダー」
9/12/2024, 1:18:19 AM