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「三日月」

 ベランダから空を見上げると、まだ明るさの残る空に三日月が浮かんでいた。満月の姿からは考えられないほど細く、誰かに奪われたみたいに穴が空いているようだ。その姿が、私の心の形と重なるように見えた。幸せだったのに、満たされていたのにいつの間にか蝕まれ奪われて気づけば大きな穴が空いていた。
 月はまた、段々と満ちていく。
 けれど、私の心が満月になる日が再び訪れる日は、きっとしばらくは来ないだろう。

1/9/2026, 2:46:48 PM