見知らぬ街を歩くのが好きだ。地元と全く違う飲食店のラインナップ、今度は地元と似た雰囲気の道。駅構内に漂う暖かい空気。駅には営みが見えるから、好きだ。たとえ寂しい駅でも、そこには過去たくさん人が乗ってきた足跡、すり減った床が見える。 俺は幽霊だし足とか関係ないけど。
地縛霊ってわけではないので、北海道から沖縄までふわふわ浮いてゆく。浮遊霊の飛行速度は比較的イメージ力による。俺は生前飛行機とかにも乗ったことがないし、だいたい自転車と同じくらいのスピードで旅を続けている。南は沖縄、北は北海道まで。記憶は薄いにしろ、色んなところに行けて嬉しかった。
大体五歳くらいだろうか。小さいときに見た、何もかもが大きい街のほどの感動は、まだ味わえていない。俺は生まれてから死ぬまでずっと、病床で暮らしていたから。
8/25/2025, 7:23:54 AM