「はぁ……はぁ」
息が切れるが足を止める訳には行かない。
訳が分からない誰かに追われている。
気づいたら走っていた。
もう疲れた。
でも、走らなければいけない。
捕まっては行けない。
でも、あいつはあきらかに私より早かった。
手を掴まれる。
「ひっ……」
冷たい刃物と生暖かい息が首にかかる。
「速報です。今日午前0時、○○区の裏路地で女性が刃物に刺されて亡くなっているのが発見されました。犯人は未だ分かっていません。皆さんも外に出る時は十分に気をつけてください。」
「はぁ…はぁ、助けて」
疲れて仕方が無いが、足を止めたら殺される。
誰かにおわれている。
なぜかは分からないが、走るしかない。
昨日に続けて今日も、きっと明日も夜の街に悲鳴が上がる。
─ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。─
5/31/2023, 5:20:39 AM