とある恋人たちの日常。

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 今日はデパートに買い物へ来た。
 それというのも、今度、この都市でお祭りがあり、その浴衣を探しに来たのだ。
 
 どんなのがいいか悩みはするものの、彼女がどんな浴衣を選ぶのか楽しみだった。
 
「どうしようかなー」
 
 彼女が色とりどりの浴衣を、ひとつひとつ見ていく。
 
「色は水色?」
「はい!」
 
 彼女は肌色だけではなく、全体的に色素が薄い。だから白メインの浴衣よりかは、水色や藍色の浴衣の方が可愛い気がする。
 青年がそんなことを考えている横で、彼女は楽しそうに浴衣を選んでいた。
 
 彼女が見ているところとは少し別のところに、青年は足を向ける。そこは華やかな髪飾りが並んでいた。
 
 その中に、大きな水色の花の髪飾りがあった。
 一番大きな水色の花の周りに、薄い黄色やクリーム色の小さい花々。キラキラした石も付いており、照明が反射して眩い。そして結紐も使われており、かなり手の込んだものだと、アクセサリーに詳しくない青年にも分かる。
 
 彼女の髪は短いから、垂れ下がった結紐はとても際立つ。だからこそ、この髪飾りを横に挿したら、華やかさが増しそうな気がした。
 
 青年はその髪飾りを手に取り、彼女の元へ向かう。
 
「どうしましたか?」
 
 首を傾げる彼女をよそに、青年は彼女の耳の上にその髪飾りを見立てる。
 
「かわいい」
 
 自然とこぼれた青年の言葉に、ふたりで驚き頬を赤らめる。
 
「あ、いや、似合いそうだなって……」
 
 慌てて言い訳をするが、今見立てた時の彼女は、自然と言葉が落ちるほど愛らしいと思った。
 
「ねえ。この髪飾り、俺がプレゼントするよ。だから、これに合う浴衣にしない?」
 
 青年は甘えた声でおねだりしてみる。この髪飾りを付けた浴衣姿の彼女を見たいのだ。
 
 彼女は、「仕方ないですね」とくすくす笑ってくれた。
 
「この髪飾りに合う浴衣を一緒に探してくださいね」
 
 そう微笑んでくれる彼女に頷きながら、一緒に浴衣を探した。
 
 
 
 お祭りの日の当日。
 浴衣姿は可愛いだけではなく、とても艶やかだということを、青年は初めて知ることになる。
 そして、選んだ髪飾りは、彼女の愛らしさに拍車をかけ、家から出したくないかも……という気持ちで溢れることとなった。
 
 
 
おわり
 
 
 
お題:お祭り

7/28/2024, 12:32:25 PM