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「ねーもう最悪ぅ」

 ギャルのような口調でそう述べたオダ。くるくると自身の髪の毛を弄っては私の髪を心底羨ましそうに見詰めてくる。天然パーマらしいその髪は連日の雨の湿気で更にうねりを増していた。

「カサキが羨ましい。このストレートヤロー!」
「そりゃあ……仕方ないでしょ?」
「いやっ そうだけどさぁ!!」

 ぎゃいぎゃいと騒ぐ其奴。余程私のストレート髪が羨ましいのだろう。ぬるい優越感に浸る。嗚呼、此奴に羨ましがられるのはこんなにも快感になったのか。パーマを羨ましがっていた部分もあったが、こんな気分になれるならストレートがいいな。

「かさきい、聞いてよお」
「えっなに?」
「嫌いな奴に会っちゃったのお…」

 それは私もだ。休日の、バス停で。

「そうなの?誰?」
「…オキ」
「オ、オキ、オキさんって、」
「地元のヤンキーのパイセンだよ……」

 そう、私達は地元が同じだった。オキというのはヤンキーの先輩。よく後輩達がパシられていて、私は媚びを売り何とかしていた。まあ、悪い意味でもいい意味でも此奴は正直だから媚びを売るなんて事出来ていなかったのだが。

「オキ、…さん、どんな感じだった…?」
「アイツなんかキモかった」
「どういう風にだよ、!」

 キモいだけでは分かんねーだろ、と付け足すと、納得したように話し出す。

「なんか痩せ細ってて面影ゼロだった」
「マジ?あの、あのオキが!?」

 ビビった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

刺咲 絞憂です。

ヤンキーのパイセン、オキ登場!!

6/1/2023, 10:19:36 AM